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日蓮正宗法華講 妙霑寺支部のサイトです。

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岡山県岡山市北区津高781番地 妙霑寺内

御会式 10月(日時はその年によって異なります)

御会式(おえしき)とは

 日蓮大聖人の弟子・檀那にとって、最も重要な法要が御会式です。日蓮正宗では、古来「御会式に参詣しない者は、大聖人の弟子でも信者でもない」等と言われてきました。
 御会式とは宗祖日蓮大聖人が弘安5年(1282年)10月13日ご入滅され、滅不滅・三世常住のお姿を示されたことをお祝いする儀式で、春のお虫払法要とともに日蓮正宗の二大法要の一つです。
 御会式といえば一般には大聖人のご命日の法要のことと考えていますが、大聖人を末法有縁の下種のご本仏と仰ぐ本宗においては、そのご入滅は「非滅の滅」であり、真実には常住此説法の大導師におわしまし、末法万年の闇を照らし濁悪の衆生を救済し給うと拝するのです。よって御会式は大聖人の永遠不滅のご本仏としてのご境界を拝する、お喜びの儀式なのです。
 会式という語は元々宮中で行なわれた諸法要のことで、その名称をとって各宗内の法要に充てたものと言われます。その中でも10月13日はことに重要な法要なので大会(たいえ)と名付け、総本山では御大会(ごたいえ)と古来から称しています。

大聖人の入滅

 大聖人は今を去る730余年の昔、弘安5年10月13日、武州(東京)池上の右衛門大夫宗仲の館において大勢の弟子や信徒が読経唱題申し上げる中で、安祥としてご入滅あそばされました。
 日興上人の御遷化記録等によると、ご入滅は辰(たつ)の時とあるので、今の午前8時頃になりますが、その時は大地が震動し庭の桜に時ならぬ花が咲いたと記されてあります。まことに末法の御本仏のご入滅を、宇宙法界の生命が挙げてこれを惜むと同時に、滅不滅の仏法をお祝い申し上げたさまを彷彿として偲ぶことができます。
 このことを受けて御会式では、御宝前に桜の花を飾りますが、桜台に飾る花や餅などは、仏教の須弥山説に基づく世界観をあらわしています。台の上の白・黄・赤・青の4色の竿餅は空・風・水・金の四輪、三角の餅は九山、手餅は八海、アラレ餅は日月星辰を表しています。これらによって宇宙全体をかたどり、その上の桜の花が妙法によって具現化された真実最高の常寂光土をあらわしているのです。

御会式の意義

 さて、御会式について、特に幾つかのことが考えられますが、まず第一に久遠常住の仏の非滅現滅・非生現生の不可思議のお命を拝さなくてはなりません。大聖人が御本仏であらせられるということは、そのまま法界の大生命体たる南無妙法蓮華経であるということでもあります。そしてまた、この世に身を受けたことは一個の個に過ぎないということです。この一個の個に過ぎない示同凡夫(じどうぼんぷ)のお姿も、入滅するということによって法界の大生命体に帰一することになります。
 『御義口伝』に「無常常住・倶時相即」(化城喩品七箇の大事・1745頁)とあるように、大聖人のご入滅は一往は無常のようには見えますが、大地震動し季節はずれの桜が開花したことは事実の上において、現有滅不滅であり、無常常住・倶時相即がまことの諸法実相であることを示すものです。また、御義口伝に「妙法と唱うれば無明法性体一なり」(五百弟子品三箇の大事・1748頁)、「妙を以ての故に即なり」(方便品八箇の大事・1725頁)とあります。この凡夫即仏・依正不二・色心不二・生死不二の相即こそは仏法の教えの根本であり、いろいろの教えは結局この不二相即に帰すのが本意です。これを如実に示されたのがご入滅なのです。
 第二に、仏様は三世に亘って三身が常住すると説かれますが、そのお姿やお住いはどうか、ということが問題です。寿量品の長行に「必ず当に難遭の想(おもい)を生じ、心に恋慕を懐き、仏を渇仰して、便ち善根を種ゆべし。是の故に如来、実に滅せずと難も、而も滅度すと言う」とあり、さらに重ねて自我偈には「衆生を度せんが為の故に、方便して涅槃を現ず、而も実には滅度せず、常に此に住して法を説く」とあります。仏様は三世に常住されるのですが、常に住していると、衆生はいつでも仏様にお会いできると安心し、つい仏道修行を怠ります。そこで、衆生教化のために一つの方便として寂滅の相をあらわし、衆生に仏様には永く会い難いとの想を抱かせ、仏道修行を勧められるのです。
 魂では寂滅の相を示された後は、仏様の生命はどこにおわすのでしょうか。「日蓮がたましひをすみにそめながしてかきて候ぞ」(経王殿御返事・685頁)との御金言によって、それは十界互具の大曼荼羅の中にあらせられ、なかんずく大聖人出世のご本懐たる本門戒壇の大御本尊として住されているのです。また、この御本尊の法体は、日興上人・日目上人・日道上人とご歴代上人に相承され、御当代上人の御一身に具し給うところです。このように、滅不滅である御本仏の出現をお祝いするのが、御会式の儀式です。
 第三には、大聖人ご入滅後の弟子や信徒の在り方が、正しい信心修行を決定する上に非常に重要となります。本弟子(重要な弟子)6人と言われる中で大聖人滅後、弟子の道をまっとうし、正しく法統を継承したのは、ご在世中常におそばでお給仕申し上げた二祖日興上人お一人です。厳しい師弟相対の上に大聖人の深い仏法を余すところなく体得し、大聖人の正義を敢然として立て通されました。したがって日興上人の門家のみが、正しい信条と法義に基いた御会式の行事を730年来行なってきたのです。
 その証拠の一つをあげると、大聖人のご化導の目的は正法治国にあり、この旨を述べられたのが『立正安国論』です。日興上人・日目上人をはじめ代々の法主上人も度々国諫をされました。この故に、本宗の御会式では安国論並びに申し状の奉読を行ない、大聖人のご精神を現代に示し、広宣流布を御宝前に祈誓申し上げるのです。

御会式の儀式

 次に、御会式の行事について述べてみましょう。この御会式は総本山をはじめ全国の末寺でも執り行なわれます。共にこの日は桜の花を作って仏前を荘厳します。

総本山での御会式

 総本山の御会式は御大会(ごたいえ)と呼ばれ、現在11月20日お逮夜、21日ご正当の2日にわたって行なわれます。この訳は弘安5年の太陰暦の10月13日は、同年の太陽暦では11月21日に当るからです。
 20日の午後から奉安堂において、本門戒壇の御本尊のご内拝があり、その後夜に入って『お練(ね)り』の儀式が行なわれます。これは末法の御本仏日蓮大聖人のご出現を示すもので、『お練り』とは静かに徐(おもむ)ろに行列を作って歩くことです。この行列が御影堂の正面参道に至ると一旦停止し、七・五・三の喚鐘(かんしょう)にあわせて6人の助番僧が、御影堂から1人ずつ7人・5人・3人の順に法主上人へ一礼に走ります。これは本仏日蓮大聖人が「お説法」のために御影堂に入られるよう、弟子が身をもってお願いする動作です。行列は御影堂の西を廻り裏向拝(ごはい)から入堂します。裏向拝から入るのは、御影堂に本仏大聖人が常住し給う故であり、信徒の人々は客として表向拝から上がるのです。
 入堂後、法主上人は高座下手(しもて)の正面に設けられた上行座(じょうぎょうざ)に、北面して着座されます。これは法華経涌出品で忽然として地から涌出する、上行菩薩の姿を表されるのです。
 次いで会行事(えぎょうじ)が立って寿量品三誡三請・重誡重請(さんかいさんしょう・じゅうかいじゅうしょう)の法式をかたどり、仏様の登高座(とうこうざ)を願い奉ります。そこで法主上人が登高座され、如法散華焼香の後、寿量品の説法を始められます。このお説法は末法の御本仏日蓮大聖人が、寿量品の文底久遠本有無作の南無妙法蓮華経を説き出される儀式なのです。
 「お説法」が終って少憩の後、三々九度の儀式が執行されます。三々九度とは日本古来の祝儀を表す盃の方式で、大聖人とお弟子の本六僧がともに酒を酌み交わし、御本仏師弟の常住をお祝いするのです。これでお逮夜の行事は終りとなります。
 2日目のご正当会は早朝の勤行衆会(しゅかい)の後、午前8時から御影堂において御講が奉修され、法主上人及び本六僧によって『立正安国論』並びに代々上人の国諫の『申し状』が奉読されます。これは大聖人の折伏の仏法を示す儀式であり、この信心をご宝前に現すことによって忍難弘通を誓い、必ず本因妙の広宣流布が成就されることを示すのです。三大秘法の仏法によってこそ、一切衆生の成仏もはじめて可能となるからであります。
 最後に、ご宝前を荘厳したお花をくずす行事で御会式は終了となります。

末寺の御会式

 末寺の御会式も献膳・読経・唱題に続いて組寺(くみでら)住職6人によって申し状の奉読があり、法要の後、説法を行なう例になっています。

御正当会法要次第
1 出 仕 鈴 (僧侶入場)
2 献   膳
3 読   経 (方便品・寿量品長行)
4 御申状奉読 (申し状は白文を用います)
 (1)日有上人御申状
 (2)立 正 安 国 論
 (3)日蓮大聖人御申状
 (4)日興上人御申状
 (5)日目上人御申状
 (6)日道上人御申状
 (7)日行上人御申状
5 読   経 (寿量品自我偈)
6 唱題観念文
7 終 了 鈴 (僧侶退場)
8 布教講演会
9 お花くずし

申し状について

 申し状は全て当時の文章ですから、意味が分かりにくいところもありますが、どの申し状にも破邪顕正の烈々たるご精神が、簡潔な文章の中に脈打っています。ご尊師方が申し状を読み終わったとき、参詣者一同が異口同音に題目三唱することによって、御会式に参詣をした人全てが一人も漏れなく、自ら申し状を奉読したことになります。このことにより、大聖人のご精神を我が精神とし、広宣流布へ向かって精進することを、参詣者一同が御本仏大聖人にお誓い申し上げているのです。
 それぞれの申し状について、白文、読み下し文、現代文をまとめた別ページを作成していますので、ご覧下さい。
 (1)日有上人御申状
 (2)立正安国論
 (3)日蓮大聖人御申状
 (4)日興上人御申状
 (5)日目上人御申状
 (6)日道上人御申状
 (7)日行上人御申状

最後に

 要するに、御会式とは、日蓮大聖人の滅・不滅の甚深のご境涯を拝して心からご報恩を申し上げ、さらに御本仏様の大慈大悲を現代に示しつつ、広布に向かっての一層の精進を誓う、誠に重要な法要なのです。
 このような御会式は、730余年来、日蓮大聖人の正義を清浄なままに護持し続けてきた日蓮正宗以外では奉修できない儀式です。その確固たる誇りと大いなる弘通の決意を持って、御会式には真の僧俗一致の姿で、大聖人に心からのご報恩を申し上げましょう。

 
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