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日蓮正宗法華講 妙霑寺支部のサイトです。

TEL 086-255-1155

岡山県岡山市北区津高781番地 妙霑寺内

髻中明珠の譬え

文殊師利菩薩が尋ねた。
「世尊よ、菩薩たちは、後の悪世において、どのようにしてこの経を説いたらよいのでしょうか」  釈尊は文殊師利に答えた。
「菩薩が後の悪世にこの経を説かんとするときは、四安楽行を行うべきある」  
そして譬えを述べた。  
文殊師利よ、例えば、強力な転輪聖王が、諸国を降伏させようとするとき、王たちがその命令に従わなければ、強大な兵を起こして討伐する。  
王は兵士達の中で、戦いに勲功のある者を見て大いに歓喜して功に随って賞を授ける。
或いは田や家や村や町や都市を与え、或いは衣服や身を飾る装飾品を与え、或いは種々の珍宝・金・銀・瑠璃・シャコ・メノウ・珊瑚・琥珀・象・馬・乗物・召使いの男女・人民などを与える。
しかし、王の髪の毛を頭上に集めて束ねたところの中にある透明で曇りのない宝玉のみは、王の頭上にただ一つあるべきであるから、決して与えなかった。  
ところが、諸国との戦いにおいて完全に大勝利した時は、その歓びが大きくてその宝玉を与える時があるのである。  
如来もまた同様に、魔王たちを撃退した時には、信じ難く未だかつて説いたことがない法華経を説くのである。この法華経は如来の第一の法であり、諸経のなかで最も奥が深いのである。みだりに説いたことがない 法華経を初めて説くのである。

【解説】  
この物語は、妙法蓮華経安楽行品第14に説かれており、転輪聖王とは仏、兵士たちは弟子、種々の手柄により与えられた宝とは爾前経(にぜんきょう)、髻中の明珠とは法華経を表している。仏は、この転輪聖王と同じように法華経を説くことを最後まで控えていたのである。  
そして、如来滅後に法華経を読む功徳として、常に憂いも悩みもなく、病もなく、顔色は白く、貧困・卑しいところに生まれず、醜い身体にならず、害されることなく、金色の仏から説法を受け、やがて涅槃に入ることができると説かれている。

[四安楽行とは]  
文殊師利菩薩が悪世で安楽に妙法蓮華経を修行する方法を問うたのに対し、釈尊が身(しん)・口(く)・意・誓願の4種の安楽行を説き、これによって初心の人が妙法蓮華経を弘通し修行することを示した。
①身安楽行。身を安定にして10種の誘惑を避け、静寂の処にあって修行すること。
②口安楽行。仏の滅後にこの経を説く時、他人を軽蔑せず、その過失を暴かず、穏やかな心で口に宣べ説くこと。
③意安楽行。末世になって法が滅びようとする時、この経を受持し読誦する者は、他の仏法を学ぶ者に対して嫉妬、そしり、争いの心を抱かないこと。
④誓願安楽行。大慈大悲の心で一切衆生を救おうとの誓願を発すること。


 
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