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日蓮正宗法華講 妙霑寺支部のサイトです。

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岡山県岡山市北区津高781番地 妙霑寺内

佛説救拔熖口餓鬼陀羅尼經(現代語)

『仏が説いた焔口(えんく)という名の餓鬼を救うための陀羅尼を説く経典』
       (爵位等は省略)大興善寺の三蔵沙門、大広智不空が詔を頂いて訳す。

その時、世尊は迦毘羅城(かびらじょう)の尼倶律那(にくりつな)僧院において、諸々の立派な比丘や、諸々の菩薩、無数の聴衆と集まって、説法を行っていた。
その時、阿難は静かな場所で、釈尊から受けた法を一人瞑想していた。
その夜の夜半も過ぎた頃、焔口(えんく)という名の餓鬼が現れた。
その形は醜く、身体は枯木のように痩せこけ、口の中で火が燃え、喉は針の先のように細く、頭髪は乱れ、爪と歯は長く鋭く、とても恐ろしいものであった。
その餓鬼は阿難の前に立って言った。
「これから三日後に汝の命は尽きてしまい、この餓鬼の世界に生まれるだろう」
この時、その言葉を聞いた阿難は、心に恐怖が湧き起こり、餓鬼に質問した。
「もし私が死後に餓鬼の世界に生まれるというのであれば、どのような方便によれば餓鬼道に落ちるという、その苦しみから免れることができるであろうか」
それを聞いた餓鬼は阿難に言った。
「汝が明日、数限りない餓鬼および多くの婆羅門や仙人たちに布施を行うのに、一人一人に対して摩伽陀国で使用しているマスで一人一人に一石(こく)の飲食を与え、 さらに私のために三宝に供養するならば、汝は寿命を延ばすことができ、私にこの餓鬼の世界の苦しみを離れて天上世界に生まれさせることができるだろう」
阿難は、この焔口の身形が、やせ細り衰え疲れて極めて醜く、口中に火が燃え、喉が針先のように細く、頭髪が乱れて、爪と歯とが長く鋭いさまを見た上に、 このような道理に合わない言葉を聞いてとても驚き怖れ、全身の毛が逆立った。
そして座から立って、急いで仏の所に至り、五体投地して、仏の足を頂礼し、身体を振るわせながら仏に申し上げた。
「願わくは私の苦しみをお救いください。どうしてかというと、私が静かなところにじっとして、仏より授けられた法を瞑想していると、焔口餓鬼が現れて、私に告げて言いました。
『汝は三日たったら、きっと命がなくなって、餓鬼に生まれるだろう』
私は餓鬼に質問しました。
『どうしたら私はこの苦しみから免れることができだろうか』
餓鬼は答えて言いました。
『汝よ、今、数限りない餓鬼および多くの婆羅門や仙人たちに種々の飲食を施すならば、汝は寿命を延ばすことができるだろう』
世尊よ。私は今どうすれば若干の餓鬼や仙人たちの食事を工面することができましょうか」
その時、世尊は阿難に告げて言った。
「お前は今、怖れることはない。私によい手立てがある。お前に数限りない餓鬼および諸々の婆羅門や仙人たちに種々の飲食を施すことができるようにさせよう。憂悩するな」
仏は阿難に告げた。
「『無量威徳自在光明殊勝妙力』という名前の陀羅尼がある。もしこの陀羅尼を誦える者がいれば、数限りない餓鬼および婆羅門や仙人たちにすばらしい飲食を十分足りるようにし、 このような人々それぞれ皆が摩伽陀国で用いるマスで四十九石の食を得るだろう。
阿難よ、私は前世に婆羅門であったときに、観自在菩薩の所および世間自在威徳如来の所で、この陀羅尼を授かったので、無量の餓鬼および諸々の仙人たちに種々の飲食を分け与え、 諸々の餓鬼を、苦しみを受けている肉体から解脱させ、天上世界に生まれさせることができた。阿難よ、お前は今この陀羅尼を受持すれば、福徳も寿命も共に増えるだろう」
その時、世尊は阿難のために陀羅尼を説いて言った。
「曩謨(ナウボ)薩嚩(サラバ)怛他蘖多(タタアギャター)嚩盧(バロー)枳帝(キテイ)唵(オーン)參婆囉(サンバラ)參婆囉(サンバラ)吽(ウーン)」
仏は阿難に告げた。
「立派な男子・女人で、長寿で福徳が増栄し、速やかに布施の行をやり遂げることができ、常に早朝であってもいつでも、まったく障擬がないことを求めたいと思うならば、 一つの清浄な器を持ってきて、清浄な水を盛り、少しばかりの飲麹や餅・飯などを中に入れ、右手でその器を持って、先の陀羅尼を満七遍誦えてから、次に示す四如来の名号を称えなさい。
『曩謨(ナウボ)婆誐嚩帝(バギャバ)鉢囉(テイハラ)枳孃(ジョウニョウ)部多囉怛曩(ブータラタンノー)怛佗蘖多也(タターギャターヤ)』
これを多宝如来という。
多宝如来の名号を称えて加持するから、一切の餓鬼たちが多生にわたって積み重ねてきた物惜しみの悪業を打ち破ることができ、餓鬼たちの罪障が消滅して、即座に福徳が円満になろう。
『曩謨(ナウボ)婆誐嚩帝(バギャバテイ)素嚕(ソロ)播耶(バヤ)怛他誐哆也(タンタギャタヤー)』
これを南無妙色身(ナウミョウシキシン)如来という。
妙色身如来の名号を唱えて加持するから、諸々の餓鬼の、醜く卑しい悪しき姿を打ち破り、そのまま仏のような美しい姿を完全に具えることになろう。
『曩謨(ナウボー)婆誐嚩帝(バギャバテイ)尾鉢囉誐(ビホラギャー)攞多怛(ラタター)囉也怛(ラタータ)他多也(タターヤ)』
これを広博身如来という。 広博身如来の名号を称えて加持するから、針のように首が細い諸々の鬼の咽喉(のど)を広げて、施した食物を欲しいままに食べさせ満腹させることができよう。
『曩謨(ナウボー)婆誐嚩帝(バギャバテイ)阿婆(アバ)孕迦囉也(エンキャラーヤ)怛佗蘖多也(タターギャターヤ)』
これを離怖畏(りふい)如来という。
離怖畏如来の名号を称えて加持するから、諸々の餓鬼の一切の恐怖を悉く除き去り、餓鬼の世界から離れさせることが出来るであろう」
仏が阿難に告げた。
「立派な男子たちよ、四つの如来の名号を称えて加持しおわつたなら、指を七遍鳴らして、食器を清浄な地面から取り上げ、腕を伸ばしてその中味を地面の上に注ぎなさい。
その施しをなし終わったならば、その四方に数えきれない無数の餓鬼がいたとしても、その前に各々マガダ国の升で四十九斛の食べ物があることになろう。そして、この食べ物を受け終わったならば。みんな腹一杯になり、そのもろもろの餓鬼たちは、ことごとく餓鬼の身を捨てて天上世界に生まれることになろう。
阿難よ、若し、比丘や比丘尼、在俗の男性や女性の信者がいつもこの真言や四如来の名号を唱え、食物に加持して餓鬼に施すならば、すぐに無量の福徳を完全に具えることができるであろう。
そして、この福徳は数え切れないほどの如来に供養する功徳とまったく変わりなく、寿命は延長し、色力はいよいよ増し、善根は具わり、一切の人間以外のものや。 夜叉、羅刹、諸々の悪しき鬼神はむやみに害を加えることはなく、また無量の福徳と寿命が成就るであろう。
もし諸々の婆羅門や仙人たちに施しをしようと思うならば、浄らかな飲食を一つの器に山のように盛りつけて、前の真言を十四遍唱えて加持し、浄らかな流水の中に投げ入れなさい。
このようにやり終わったならば、天界の諸々の美妙しい飲食を、数え切れないほどの婆羅門や仙人に供養したことになろう。
かの諸々の仙人たちは加持した食物を得るので、食物に込められた呪の威徳によって、各々のもともとの所願である善功徳を成就して、各々が同時に誓願を発して言うであろう。
『願わくは我等に食物を施してくれた人の寿命が延長し、色力が安楽でありますように。
また、その人が心で見聞するところのものが、清浄なる正解となり、梵天の威徳が身にきちんと備わって、梵天の行が行えますように。
また、数え切れないほどの如来に供養して得られる功徳と同じように、一切の寃讎(おんしゅう)侵害できませんように』
あるいは比丘や比丘尼、在俗の男性や女性の信者が、もし仏法僧の三宝に供養をしようと思うならば、かならず香華と浄らかな飲食をもちい、前の真言を二十一遍唱えて加持して三宝に献上しなさい。
この立派な男子と女人は、天のごちそうの殊に美味なるものを、十方世界に満ちている仏法僧の三宝に献上供養したこととなるし、また、三宝を讃歎し勧請し随喜するという功徳を積み、 常に諸仏に憶念され、称賛されて、諸天善神が常に擁護し、すぐさま布施行が満足されるであろう。
阿難よ、汝は私の言葉に従って教えの通りに修行をし、広宣流布して諸々の衆生がその教えを余すことなく見聞して無量の福徳を享受できるようにさせなさい。
この経典を「救焔口餓鬼及苦衆生陀羅尼経」と名付ける。
この経典の名前を、汝は奉持しておきなさい」
すべての聴衆および阿難たちは、仏が説くのを聞きおえると、この教えを心から信奉し、歓喜して実践した。
              仏の説かれた救抜焔口餓鬼陀羅尼経


 
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