TEL 086-255-1155
岡山県岡山市北区津高781番地 妙霑寺内 中国の隋という時代の末に一人の僧がいて、虎丘山に入り法華経を読誦していた。虎丘山には百匹を越える猿が生息していたが、そのなかに全身白毛で覆われた一匹の年老いた猿がいた。声を出すこともなく数日、樹上にいて僧の読誦する声を聞き、夜も樹から去らなかった。
ある朝、老猿は落死していた。それを見て僧は哀れに思い、埋葬して石を置いた。
その日の夜、空中に声があった。「我は老猿である。聞法の功徳により第二天に生まれることができた。その恩に報いるために珠(たま)十枚を施しに来た」と言い、あとは声がなかった。朝、僧が洞窟の前を見るとそのとおりに珠があった。僧はその珠を収めて経軸にすると暗夜に光を放ち、近づくと滅したのである。
******************************************************************
これは『法華伝記』に記される説話で、日寛上人は「畜生でさえ聞法の功徳で第二天に生ずることができたのであるから、人間は一人として成仏しない者がない」と仰せである。
(新説結座説法)