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岡山県岡山市北区津高781番地 妙霑寺内 羅雲(らうん)は多分に妄語(嘘)をつくことを喜びとしていた。その嘘で無量の人々を仏に会えないようにしていた。釈尊はこのような羅雲の悪癖を矯正しようとして遠方まで行き、羅雲に水を汲んでくるように命じた。
羅雲は水を汲んで仏に捧げた。すると突然、釈尊の脚が跳ねて操盤(そうばん:手や髪を洗うときに使うたらい)をひっくりかえしてしまったが、あえて釈尊はそれに水を注がせた。その時、羅雲は器うつわがうつぶせになっていては水を入れることができませんと答えた。すると釈尊は「汝は覆器(ひっくりかえった器)のようで、法水が入らない」と言い、種々羅雲を呵責したのである。
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これは『大論』に説かれていて、日寛上人は誡勧二門を説明するために引かれたもので、文意を次のように仰せである。
「釈尊が羅雲の妄語を誡めたのは誡門であり、実語を話せと言ったのは勧門である。今そのように久遠実成・真実己証の法を聞いて疑いなく信ぜよ。もし少しでも疑えば、彼の器のうつぶせになって水が入らないようなものである。また、疑えば本地難思境智の妙法の法水が汝等が己心に入らないから、少しも疑わず信じなさいと誡勧されたのである。在世と滅後とは時期は異なるが、信心の無い者は覆器の如くである。
故に妙楽大師は『覆器』とは信無き故、器の覆ぶせるが如しと述べている」。
なお、羅雲とは羅喉羅のことで、ヤソーダラ妃の間に出来た釈尊の実子である。
(歴代法主全書四巻168頁)