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岡山県岡山市北区津高781番地 妙霑寺内 嬰児(一、二歳の赤ん坊)が大声で泣き叫んでいたので、両親は子供をなだめるために黄色い葉を見せて「いい子だから泣かないで、泣かないでおくれ、泣きやむならおまえに金を与えよう」といって黄色い葉を与えた。すると、子供はそれを見て本物の金と思い、泣くのをやめるのであった。子供のもらった金は、本当は普通の黄色い葉であった。
木の牛、木の馬、木の男、木の女を見て嬰児は、またまた生きている牛や馬、男や女と思い、泣くのをやめるのであった。だが本当は木で造られた牛や馬、男や女であった。
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これは涅槃経の嬰児行品に説かれているものである。
親は嬰児の泣きをとめるために、子供に好みに応じて色々な物を与えた。金子を与えればやむであろう時には黄色い楊の葉を与え、木牛等を与えればやむであろう時にはそれらを与えて子供を喜ばせた。
これは嬰児の意に随う一往の方便である。全くそのように、爾前迹門の間は他の意に随い、その好むところに応じる一往の方便で、真実の得道ではない。故に法華経には「但ただ方便を以もって、衆生を教化す」と説かれているのである。法華経のみが仏の随自意にして、得道があるのである。
(歴代法主全書四巻)