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日蓮正宗法華講 妙霑寺支部のサイトです。

TEL 086-255-1155

岡山県岡山市北区津高781番地 妙霑寺内

猿 の 恩

 伊豆の国のある所に若い地頭がいて、狩りをしたついでに猿を一匹生け捕りにして、縛って家の柱に結い付けておいた。
 この若い男の母は尼であり、慈悲深く、かわいそうに思って郎等達を呼んで、猿を解き許し山へ逃がしなさいと言っても、主人の心を知って恐れて誰も逃がしてやろうとしなかった。それではと尼は仕方なく自分で猿を解放して山へ逃がしてやった。
 時がたち春になると、猿はイチゴの盛りにイチゴを柏の葉につつんで少しの時間をみつけて尼に渡した。尼は余りのかわいらしさに布の袋に大豆を入れて猿にとらせた。その後、猿は又、栗の盛りには先の布の袋に栗を入れて、あい間に持って来た。
 こんどは猿を捕えておいて尼は子供を呼んでいままでのことを話して「子々孫々までも猿を殺さないという起請文を書きなさい。もし書かないなら母子の縁を切る」と何度も迫ったので、子供は起請文を書いて約束したのであった。
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 現在までもここでは猿を殺さない由よしを或る人が話しをしていたが、その場所までは書きません。
 これは『沙石集』に記されていて、『報恩抄文段』に示されている。
     (歴代法主全書六巻)


 
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