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日蓮正宗法華講 妙霑寺支部のサイトです。

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岡山県岡山市北区津高781番地 妙霑寺内

大魚の報い

 昔、一人の沙門(僧)がいたが、その家はかなり裕福であった。寺塔を造立するのに柱に栴檀を用いたり、金・銀・瑠璃・硨磲・碼碯・真珠・玫瑰の七宝を使って荘厳を極めた。いまだ完成しない時分、遠方より五百人の沙門が町にやって来た。すると国の五百人の賢者が、それぞれ沙門に袈裟と被服とを供養した。それを見た先の裕福な沙門は「自分の功徳は積もって須弥山のように高いのに、国の人は誰も私に供養をしようとしない。ただ賤しい者だけが私に取り入ろうとして近付くだけで、貴い人は私を避けて遠ざかって行ってしまう」と嘆息して、建設中の寺塔に火を付け焼いてしまった。
 後、沙門は死して地獄に九十劫、畜生に九十劫という永い間堕ちて、また大魚となった。身の丈たけは四十万里、眼は日と月との如く、牙は二万里、身の白きことは雪山に似ていた。さらに舌の広さは四万里で、色は赤く火山に似ていた。目の大きさは五万里であった。
 時に五百人が海に入って宝を採っていた。これらの人々は先身に五百の沙門に袈裟と被服とを供養した者達である。
 ここで因縁が宿対した。大魚がこの者達を飲み込むために口を張って水を飲むと舫は水の流れに従って急速に流れた。余りの死の恐怖に五百人は一同に大声で「南無仏」と称えた。すると仏の御名を聞いた大魚は口を閉じて耳を傾けた。大魚が口を閉じたので水は静止した。やがて大魚は食せずして命終したのである。
 大魚も後に人間に生を受け、出家して仏道を行じ、若くして阿羅漢果を得た。海辺に行って我が前身を見ると骨は山の如く積み重なっていた。
 これは寺塔を焼いた罪である。百八十劫もの永い間、悪道に堕ちていたのである。
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 これは譬喩経に説かれていて、日寛上人が題目抄文段に引用され、「非法の国主等は多くこの報いを受ける」と仰せになっている。
        (歴代法主全書六巻)


 
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