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日蓮正宗法華講 妙霑寺支部のサイトです。

TEL 086-255-1155

岡山県岡山市北区津高781番地 妙霑寺内

戯れに衣を看て比丘尼となった芸子

 仏の在世に鬱鉢(うはつ)比丘尼がいて既に阿羅漢を得、六神通を具していた。
 比丘尼は貴人の家を訪問すると、いつも出家を賛嘆し、貴婦人に出家を勧めていた。すると彼女達は、
 「私は年少の上、容色も美しいので途中で戒を破って還俗してしまいます」
と言った。
比丘尼は、
 「戒を破ろうとするから破れるのです」
と答えた。
また彼女達は、
 「戒を破れば地獄に堕ちてしまうでしょう」
と問うと、比丘尼は、
 「堕ちようとするから堕ちるのです」
と答えた。
彼女達は笑って、
 「地獄に堕ちれば苦を受けることになる」
と言った。
 それを諭さとすように比丘尼は、
 「実は、私の過去の姿を言うと、私は芸子でありました。色々な衣服を着ましたが、ある日、比丘尼の衣を着て戯笑(けしょう)したことがあります。この僧尼の衣を着た縁により、迦葉仏の出世の時、比丘尼となりました。私は高性(こうせい)で、顔貌も端正でありましたので、心に驕慢を起こし、禁戒を破ってしまいました。
 この破戒の罪により地獄に堕ちて多くの苦を受けました。けれども罪を受け終わって人間界に生を生けましたら釈尊に遇い、再び出家得度し、阿羅漢を得、六通が自在になりました。故に出家受戒は初めによるのです」
と答えたのである。
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 これは『本生経』に説かれていて、日寛上人は『法衣供養談義』のなかに「戯れに衣を着ても功徳があるのだから、真実から出家して衣を着るにおいては、その功徳は広大無辺である」と仰せであり、出家の功徳を説いたものである。
     (歴代法主全書八巻)


 
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