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日蓮正宗法華講 妙霑寺支部のサイトです。

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諸宗破折ガイド 新興宗教 疑似宗教 幸福会ヤマギシ会

二 幸福会ヤマギシ会(農事組合法人)

  創 立    昭和28年3月
  創始者    山岸巳代蔵
  現後継者   杉江優滋を中心とする合議制
  崇拝の対象  なし
  教 典    山岸巳代蔵著『世界革命実践の書』
  本部所在地  三重県津市高野尾町「ヤマギシズム生活豊里実顕地」
  信者数    約5,000
  名称の変遷  山岸会(昭和28年3月) 幸福会ヤマギシ会(平成7年)

【沿革】
 農事組合法人・幸福会ヤマギシ会は、山岸巳(み)代(よ)蔵(ぞう)が掲げた「われ、ひとと共に繁栄せん」を根本精神として、ヤマギシズム社会と称する共同・共有一体生活を営みながら、世界革命(世界急進Z革命)を目指す集団である。
 山岸巳代蔵は明治34(1901)年8月、滋賀県老蘇(おいそ)村(現安土町)の農家に生まれた。15歳のときに京都の絹問屋で奉公したが、やがてそこを辞めた。19歳のとき、徴兵検査で不合格になったのを機に上京し、社会主義運動に加わった。このため、度々警察に拘引留置された。22歳のとき、特高警察の尾行を逃れるため、巳代蔵が飛び込んだ先が養鶏場であった。そこで、養鶏設備と成育される鶏を目にした巳代蔵は、自分がこれまで研究してきた新たな社会組織の在り方を養鶏事業で実験することを思い立った。郷里に帰り、養鶏に着手した巳代蔵は順調に業績を伸ばし、昭和6年には京都に養鶏場を移した。
 同25年9月、ジェーン台風が中国・近畿地方を直撃し、508人に及ぶ死者・行方不明者を出した。稲もすべて倒れ、農家に甚大な被害を及ぼしたが、山岸養鶏場の有機農法による土地改良を施した田だけは何の被害もなかった。これに自信を得た巳代蔵は、同28年3月、仲間とともに京都府西日向町において「山岸式養鶏普及会」を結成し、同時に「山岸会」を設立した。
 以後、毎月16日の昼は養鶏の技術講習を行い、夜は精神面における研鑽会を開催した。同年7月、山岸式養鶏普及会は「山岸式養鶏会」と改称した。同29年2月、巳代蔵は『山岸式養鶏法』を出版し、同時に『山岸式養鶏会会報』も創刊した。その第3号に「世界革命実践の書」を載せ、はじめてヤマギシズム社会の目的を発表して「理想社会建設のために世界革命を行う」という同会の方向性を示した。次いで「山岸式養鶏会」を山岸会に吸収し、名前を「山岸会養鶏部」と改めた。
 同31年1月、巳代蔵はヤマギシズム社会の実現に向け、第1回山岸会特別講習研鑽会(通称・特講)を実施した。同33年、巳代蔵は「山岸会式百万羽科学工業養鶏株式会社」構想を打ち出して全国から会員を募った。これに呼応した者達が、家屋敷を処分して三重県阿山郡伊賀町に集い、同年6月「ヤマギシズム生活実践場春日実顕地」において、養鶏を中心とする共有一体生活をはじめた。
 やがて巳代蔵は会員の「急拡運動」を提唱した。この提唱を受け、同34年7月に開催された第86回の特講では、すでに参加している者たちの家族・親戚等に対して、山岸の会員が「チチキトク、スグコイ」等の偽電報を打ったり、途中で講習会を離れる者を山岸の幹部が強引に止(とど)めるなどのトラブルを起こした。これによって警察の一斉検挙を受け、ヤマギシの幹部は不法監禁、脅迫、暴行、財産の搾取・横領の容疑で10余名が留置された。いわゆる「山岸会事件」である。
 この事件によって山岸会は世間から指弾されたが、同35年の8月から特講を再開し、同36年4月にはヤマギシズム中央調整機関を設け、続いてヤマギシズム世界実顕中央試験場、ヤマギシズム研鑽学校などを開設した。
 同年5月に巳代蔵が61歳で死去し、幹部の一人であった中井一夫が後任になった。同39年、巳代蔵の内縁の妻福里ニワが150名ほど会員とともに山岸会を離れ、滋賀県甲西町に福里哲学実顕場を創設した。
 同四九年、実顕地の生産物を一般にも販売しはじめ、幸福学園が主体となった「子ども楽園村」も開催した。同51年、山岸内で権力闘争が起こり、これによって中井一夫に替わり、杉本利治が実質的指導者となった。同56年、「愛児に楽園を」運動を全国的に展開し、同60年からは楽園村を、同63年からは幼年楽園村を、それぞれ毎月開催している。平成7年、「幸福会ヤマギシ会」と改称した。
 平成11年11月に杉本利治が死亡し、現在は杉江優滋等が後を受け継いでいる。
 「金の要らない仲良い楽しい村」と宣伝する各地の集団農場を「実顕地」と称するが、これはヤマギシズムを実際に顕した地という意味である。ヤマギシは日本に30カ所、海外に7カ所の実顕地を所有している。

【会の方針と活動】
 ヤマギシでは「自然と人為、即ち天・地・人の調和をはかり、豊富な物資と健康と親愛の情に充つる安定した、かつ快適な社会を人類にもたらす」ことを目的とし、この実現のためには、宗教・神仏に頼るのではなく、一人ひとりが無所有・共用を研鑚し、体得して行う一体生活においてこそ築かれる、などと主張する。
 このヤマギシズムを広める核は、7泊8日の「特別講習研鑽会」である。これは略して「特講」と呼ばれるが、物心ともに他を侵さない協力社会を築くための人間教育の場とされ、巳代蔵は次の5項目を研鑽目標として掲げた。
 一、如何なる場合も、腹のたたない人になる
 二、零位に立つ(過去の認識・経験・方法を無批判に受け入れないで、自由に物事を考えられる   位置に自分を置く)
 三、研鑽が真の幸福を将来する方法であることを知り、これを実践する
 四、自他一体の理を知り、これが真実社会の根本原理であることを体得する
 五、われ、ひとと共に繁栄せん
 ヤマギシでは実顕地を「村」と呼び、そこで生活する者を「村人」と称している。村人になるためには我執を捨てる、つまり所有観念をなくす特講を受け、さらに無我執を体得するため、つまり自分の身体や子供を含む、すべてが誰の所有するものでもなく、みんなが一体であることを体得するために研鑽学校に2週間入り、それから参画(入村)請願をする。ただし、参画の際は所有しているすべての財産は供出しなければならない。
 村に入らず、一般社会のなかで生活する者は「全人類幸福親愛社会の実現に向けての5つの具体的活動」を実践する。それは、
 一、地域の研鑽会に参加
 二、ヤマギシ食品を普及する
 三、特講の拡大を目指す
 四、子どもを楽園村(毎月開催されている)へ送り続け、学園入学を目指す
 五、6カ月以内に研鑽学校へ入学する
である。
 ヤマギシの村は提案、研鑽、調正、任せ合い、自動解任で運営されているという。村全体に関わる事柄から個人的な問題に至るまで、一つの要望や意見が出される(提案)と、村人同士で話し合い(研鑽)が行われ、そこであらゆる事柄が村にとって正しい方向に調えられて(調正)、村全体の方針や村人一人ひとりの要望や問題の解決法が決まる。この研鑽会には仲良し、生活、職場、交通安全、衛生等さまざまなものがある。一人がすべての研鑽会に参加することは物理的に不可能なことから、自分に関係する研鑽会以外は他の村人が研鑽した結果に従うこととなる(任せ合い)。また、職場は6カ月ごとに配置換え(自動解任)になるが、この移動は一つの村内に限らず、全国の村にまたがって行われる。
 結婚も提案すれば、研鑽され、調正され、そして結論が出る。また小学校1年から高校3年まで、すべての子供が親元を離れ、村の係りがすべての面倒を見ることになっている。
 役場に相当する「調正機関」がそれぞれの村にあり、それらを統合する「ヤマギシズム生活実顕地調正機関本庁」が三重県津市高野尾町の豊里村にある。

【破折の要点】
◆ヤマギシでは「無所有・共用、一体生活」を主張し、「豊富な物資と健康と親愛の情に充つる安定した、かつ快適な社会を人類にもたらす」と述べている。この「無所有・共用」「一体生活」の意味は、宗教ジャーナリスト米本和宏氏の取材に応じた、村人の女性が語った、「すべて誰のものでもないから、誰が使ってもいい。食堂だってお風呂だって、みんなが使う。一体なのよ。誰のものでもないっていうのは物だけでなく私の子どもだって私のものではない。だから、この村にいる子どもは誰のものでもない。私の身体だって、私のものではないの。世界中のすべてのものは誰のものでもない、すべては一体なのよ」という言葉に端的に表れている。
 「無所有・共用、一体生活」を謳うヤマギシズムは、まさに社会的通念や人間の生活規範を破壊する暴論・邪説である。

◆ヤマギシズムを植え付けるために、「物心共に他を侵さない協力社会を築くための人間教育の場」と称し、特講(特別講習研鑽会)なるものを設けている。しかし前述の米本和宏氏は、自ら体験した「特講」について、「精神を不安定にさせる環境のもとで、解答なき解答を執拗に問われ続け、そこから逃れるために防御反応が働き、諸感覚の入力スイッチが切り替わってしまった結果、記憶が喪失し、…景色が鮮明に見え、離人感、多幸感を体験し、全能感にひたることになる。一方で神秘的体験、合一融合体験を味わい、場合によって二重人格になる。そして、解離状態は特講後も続く」(洗脳の楽園229)と述べている。
 特講とは、決して「人間教育の場」などではなく、危険きわまりない「洗脳システム」にほかならない。

◆ヤマギシでは「宗教・神仏によらないで真の幸福を得る方法」と宣伝し、宗教を頑なに嫌悪している。しかし巳代蔵の偏狭な教えを信奉し、特講・研鑽という洗脳システムを作り、この教えとシステムによって世界革命(世界急進Z革命)を目指すヤマギシの実態は、宗教そのものであり、一時、世間を騒がせた「統一協会」同様のカルト教団である。


 
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