本文へスキップ

日蓮正宗法華講 妙霑寺支部のサイトです。

TEL 086-255-1155

岡山県岡山市北区津高781番地 妙霑寺内

諸宗破折ガイド 世界の宗教 儒教

九 儒教

【歴史と現状】
 儒教は、孔子(前551~479)を始祖とし、孟子や荀子によって継承され、発展した中国古来の教えである。この教えは伝統的文明をもととして、尭・舜などの三皇・五帝に聖人の理想とし、周の文王やその弟・周公を尊敬するものである。
 孔子は「人間は良心の命令によって行動すべき」とし、特に「礼」の実践を中心にした道徳をもって人間の在り方を教え、理想的人格の形成(仁の体現)と「修身・斉家・治国・平天下」により、理想的国家を治めることを説いた。その言語録が『論語』である。
 孔子の思想は、道徳観においては孟子(前372~289)の「性善説」を生み、「仁」と徳治の思想を発展させ、一方で荀子(前298~238)の「性悪説」を生んで「礼」の思想が継承されていった。
 儒教は、紀元前1世紀の前漢・武帝の時に国教となり、中国の道徳や政治の基盤思想となっていったが、やがて仏教が渡来して政治的に力を持つようになると、儒・道・仏の三教が、互いに影響しあうようになった。宋の時代には新儒教といわれる新しい動きが興り、朱子(1130~1202)による絶対君主制を擁護する形式主義・厳粛主義の「朱子学」が生まれた。また明代には朱子学の形式主義を批判した王陽明(1472~1529)による内容主義・行動主義の「陽明学」が誕生し、儒教は中国思想の中心となった。
 しかし、清代になると陽明学の強烈な心情的行動主義が危険視され、経書による古典的学問を奨励する風潮が強まるなかで、儒教も単なる学問的教養という位置づけをされて、現在に至っている。しかし、台湾や朝鮮では現在も宗教として存続している。
 日本に儒教が伝播したのは、『日本書紀』によれば応神天皇の代とされ、以後、孔子の『論語』等をはじめ儒教思想は、道徳・政治・教育等に影響を及ぼしている。
 特に江戸時代には、朱子学・陽明学が盛んになり多くの門人を輩出するが、現在、儒教は学問・教養の一部として伝えられている。

【教義の概要】
 理念として、本尊は天帝・上帝を立て、その象徴的実践者として孔子を祀っている。
 孔子は、古の先聖の道を集大成し、易・詩・書・礼・楽・春秋の六経をもって独自の倫理・道徳・政治理念を確立したとされる。彼の教えの基本は、仁・義・礼・智・信の五常と孝の思想であり、四書五経を根本経典としている。その解釈には、中国古来の陰陽五行説・老荘思想・仏教の事理思想等が取り入れられている。
 なお、儒教は道徳の範疇を出るものではなく、宗教ではないとするのが一般的な考えである。
仏教から見るならば、儒教の孔子・老子等は、仏法が中国に渡来する先駆けとして、礼楽の教えを説いたとされている。


 
inserted by FC2 system